本研究は、ポスト・モダン(ポスト近代法)の法解釈理論のあり方の研究と住宅法(賃貸借法及びマンション法を中心とする)の各論的研究の二つに大別できるが、後者は広く所有権法の一理をなすものである、そしてこの二年間のかかりの部分は前者の哲学的・思想的研究にあてられ、文献は膨大であったが一定の研究の進学を見せ、私法学分学でも報告を行った。また所有法に関しても、程々の領域で-近時アメリカで注目を集めている人格権的所用論との関わりで-人工生殖、環境、情報及び知的所有権の領域で、言力は外堀を埋める作業を行い、各々につき業績を発表した。そすて、本研究の理論的バックボーンとなっている共同体論の思想的バックグラウンドをなす。個人主義の弊害、疎外論、共同体、コミュニティの意義につき、検討を行い、部分的に成果は発表し、アメリカの共同体主義の動的などは今後研究を継続している。そして民法の領域での具体的場面としては、マンション管理とアメリカの住宅共同体管理との比較研究、また借家法の法的規制のあり方として、わが国の「正当」内の是非、アメリカの賃料に対するコミュニティー的規制(レント・コントロール)の比較研究を行い、近くその成果を発表する予定だが、背景の相違も痛感している。
|