本年度は地方自治体の国際交流の代表的な地域を選択し、そこでの現地調査を主としておこなった。具体的には、北方外交を展開している北海道、環日本海交流プロジェクトの拠点都市である新潟、上越の両市、自治体の国際交流の先進地域である神奈川県、環黄海プロジェクトの中心都市である福岡、基地問題および基地縮小をめぐる対米交渉と撤去後の「国際都市」構想の実現をめざしている沖縄県である。これらの地域の現地調査では、道県の行政資料や地方新聞記事、刊行書などの資料を収集するとともに、関係者にインタビューして実際の動きや行政以外の関係者、市民運動、NGOなどの活動について調べた。 以上の調査を通じて、本研究においては冷戦後の東アジアの経済・外交の実態、自治体住民および行政の「国際化」への関心のありかた、いわゆるグローバリゼーションの影響、実際の自治体の国際交流の内容、住民や市民運動などの関わり方などが今後の本研究の焦点になると考えられる。次年度以降はこうした諸点に注目しながら研究を継続していきたい。
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