研究概要 |
本研究では、近年著しく増加傾向にある国際間・都市間の企業内における分業が都市システムに与えた影響について分析した。特に、都市におけるミクロレベルの行動理論とマイクロレベルの実証分析の両方についてそれぞれに研究を遂行した。 まず、経済的な単位である都市圏に着目して、さまざまな社会経済データを時系列と横断面について収集した。具体的には、消費者物価指数、賃金、所得、地価などの指標である。これらのデータについて、さまざまな記述統計を作成することによって、都市圏間格差などの実態を明かにした。 これと平行して、都市における諸現象について経済理論による解明など、理論的な研究を進めた。 得られた知見や、さまざまな空間的な規則性に関する仮説を統計的に検定し、結果をDiscussion Paper No.97-F-1,Faculty of Economics,University of Tokyoにまとめた。なお、地価に関するミクロレベルの研究はLand Economics誌において発表した。一方、地域間の所得格差や地域成長については、日本経済事典「日本の地域経済」において概観し、都市間の格差や地域成長については、「都市と地域の経済学」において詳しく論じた。 研究報告だけでなく、他の研究者と意見交換することによって、本研究の問題点の点検にもつとめた。具体的には、京都大学経済研究所でほぼ毎週行われているUrban Economics Workshopで議論したり、関連学会の場で発表や意見交換を行った。
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