本年度は、主に課題研究目的のためのデータ整備作業の完了と、研究枠組みの設定作業を行った。 第一に、データの整備は、国際通貨基金、世界銀行、経済協力機構などから、政治、経済、社会、文化関連指標を収集し、それをSASによる統計解析計算が研究課題に応じてできるように入力・加工し終えた。開発途上国約80ケ国、1970年以降約14年各年、さらにデータ系列約600(重複分含む)である。 第二に、本格的独自研究への予備的段階として、今日までの当該分野の研究成果を専ら英語文献を素読し、併せて、幾つかの簡単な実証分析をおこなった。 例えば、(1)市販のカントリースク・レ-ティング(評価)の特徴(類似点・相違点)、(2)主要なカントリーリスク評価がどのような変数を、どの程度(ウエイト)考慮しているかの確認、(3)海外直接投資、国際金融貸付といった国際資本移動においてカントリーリスクレーティング(の結果)がどの程度反映されているかの検証、さらに(4)カントリースクレーティングが中南米における債務危機や旧ソ連邦の崩壊といった出来事(=リスクの発生)を、それに先だって予測し得ていたのかの検証、等々をおこなった。
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