管理会計の分野ではコスト低減の方法がよく研究され、品質管理の分野では製品の品質・機能の向上・維持についてはよく研究されてきた。しかし、現実にはコスト低減と品質向上は同時に達成されなければならない。そこで、本研究では、この両者を統合的に同時に達成していく手法を新しく開発することを目的としている。 本研究は平成8年度から9年度にわたる2年間の研究であるが、本年度は、新製品開発において実務界で用いられているQFD(品質機能展開)とVE(価値工学)とが、目標原価と目標品質と目標開発期間を達成するのにどれほど有効であるかを企業へのアンケート調査によって確かめた。このために、つぎのような事柄を行った。 1)QFDとVEに関する文献を調査して両者の技法についてフレームワークを作成した。 2)日本の主要企業のいくつかに訪問調査した。 3)東京証券取引所1部上場の全製造業種の会社にアンケート調査を行った。このために質問票の作成と仮説の作成を行った。 4)その研究成果の一部を日本管理会計学会で発表した。 5)新製品開発のシステムについて英文論文を1編公刊し、国内の学会のProceedingsに1編を公刊した。 6)上記の3のアンケート調査について、諸変数間の因果関係について仮説を設定して統計的に検定した。その研究成果は、一部は上記4)と5)で公表したが、他は現在執筆中で近く海外の審査付きジャーナルに投稿予定ある。
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