研究課題/領域番号 |
08874005
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
儀我 美一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70144110)
|
研究分担者 |
上見 練太郎 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10000845)
久保田 幸次 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50000807)
神保 秀一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80201565)
|
キーワード | ファセット面 / 粘性解 / 非線形 / 拡散方程式 / クリスタライン アルゴリズム / 表面エネルギー |
研究概要 |
結晶成長は温度がいわゆるラフニング温度より低いか高いかにより大きく異なる.ラフニング温度より温度が低い場合は、表面エネルギーの滑らかさが失われ、平衡形では平らな面-ファセット面が現れる。非平衡状態を記述する結晶界面の運動方程式は、形式的には非線形拡散方程式であるが、拡散が特定方向を向いた面に対して非常に強く、古典的な方法では方程式の意味の説明は困難である。従来は、解の形状を制限すること例えばファセット面のみにすることにより解を定義したが、なぜそれでよいのかはわからなかった。本研究では、結晶界面が一変数周期関数のグラフである場合であるか、十分一般の初期値に対して解の概念を定義し、解の時間大域的存在、一意性定理、比較定理を示した。また解は表面エネルギーに対して連続的に変化することもわかった。この解の概念は、粘性解の理論の拡張であり、従来個別に定義された解を完全に含んでいる。従ってファセットの現れる成長が表面エネルギーが滑らかの場合の極限として自然に得られることがわかった。 表面エネルギーが区分的1次の場合クリスタライン・エネルギーとよばれる.その場合の界面運動方程式の解は、初期値がファセット面のみであればファセットの長さについての常微分方程式を解くことによって得られる。一般の曲率流方程式の表面エネルギーをクリスタライン・エネルギーで近似して近似解をつくる方法をクリスタライン・アルゴリズムとよぶ。この方法は、2階までの微分をよく近似していると考えられていて注目されていた。しかし、その近似解が真の解に収束するかどうかは、方程式が発散形の場合についてのみ議論されていた。本研究により、その収束性が十分一般の方程式についていえるようになった。
|