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1996 年度 実績報告書

巨視的量子トンネリングによる磁束の運動に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 08874029
研究機関東京大学

研究代表者

為ケ井 強  東京大学, 工学系研究科, 助教授 (30183073)

研究分担者 芝内 孝禎  東京大学, 工学系研究科, 助手 (00251356)
キーワード巨視的量子トンネリング / 磁束 / 高温超伝導体 / 次元交差
研究概要

高温超伝導体は"巨大磁束クリープ"に代表される顕著な熱励起による磁束の運動を示す。しかし、この運動が極低温でも止まらないことが明らかにされ、磁束の量子力学的なトンネリングがその起因としてに注目されている。
我々は、磁気測定に微小ホール素子を用いることにより広い温度・磁場範囲にわたり、磁束の運動の目安である磁気緩和測定を高精度に行った。この方法を用いることにより、小さな試料でも10x10μm^2の微小ホール素子より大きければ、磁気緩和が測定が可能となる。また、これと相補的にSQUID磁束系による測定も行った。
本年度は、現有の超伝導マグネットに組み込まれた^4Heクライオスタットのインサートデュアーとして^3Heクライオスタットを作製した。^3He温度での使用を前提としたホール素子は、イオン打ち込みしたGaAs基板から光リソグラフィーにより作製した。特に今年度はこれまであまり磁気緩和の測定が行われていないBi_2Sr_2CaCu_2O_<8+y>を対象とした。
低温において、ある磁場以上で緩和率は大きくなる。この異常の起こる磁場は、低温ほど高磁場へ移動する。我々はこのような磁場依存性が起こる原因として、磁束系における次元交差が低温の磁気緩和に影響を与えていると考えている。磁束線からパンケーキボルテックスへの分解と考えられる磁束系の次元交差はBi_2Sr_2CaCu_2O_<8+y>において約1kOe程度の磁場で起こることが知られている。量子クリープの理論によると緩和率Sは相関長L_Cに反比例する。したがって次元交差によりパンケーキボルティクスに分解した磁束線はL_Cが短くなり、緩和率が増大する。低温では大きな臨界電流密度のため、数十μmの単結晶でさえ自己磁場は1T以上に達する。このために、その分だけの幅の磁場範囲で試料内のどこかで磁束系が線上(3次元)となり、緩和率が低下すると考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] T.Tamegai,et al.: "Dimensional crossover of quantum collective creep in Bi_2Sr_2CaCu_2O_<8+y>" Czech.J.Phys.46. 1733-1734 (1996)

  • [文献書誌] T.Tamegai,et al.: "Magnetization anomaly and mixedstate phase diagram of κ-(BEDT-TTF)_2Cu(NCS)_2" J.Low Temp. Phys.105. 1733-1736 (1996)

  • [文献書誌] S.Ooi,et al.: "Anomalous temperature dependence of the peak effect in iodine-intercalated Bi_2Sr_2CaCu_2O_<8+y>single crystals" Physica C. 259. 280-286 (1996)

  • [文献書誌] T.Shibauchi,et al.: "Temperature dependence of anisotropic penetration depth in under-and overdoped Bi_2Sr_2CaCu_2O_<8+y>" Physica C. 264. 227-232 (1996)

  • [文献書誌] D.T.Fuchs,et al.: "Simultaneous resistivity onset and first-order vortex-lattice phase transition in Bi_2Sr_2CaCu_2O_8" Phys.Rev.B. 54. R796-R799 (1996)

  • [文献書誌] T.Shibauchi,et al.: "Microwave response of Josephsonplasma in κ-(BEDT-TTF)_2Cu(NCS)_2" J.Low Temp.Phys.105. 1715-1718 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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