研究課題/領域番号 |
08874031
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
遠藤 慶三 東京医科大学, 医学部, 教授 (20087034)
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研究分担者 |
飯島 正徳 東京医科大学, 医学部, 助手 (70287118)
松田 弘子 東京医科大学, 医学部, 助手 (20074635)
大岩 潔 東京医科大学, 医学部, 講師 (00233031)
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キーワード | ハーフメタル / ホイスラ-合金 / 巨大磁気抵抗 / 金属・絶縁体転移 / 半導体 |
研究概要 |
ハーフメタル強磁性の特徴的電子物性を追求するため、薄膜作成装置を設置し、実験の準備を進めている。一方では、この間に、ハーフメタル強磁性に密接に関係のあるホイスラ-合金の半導体に着目して実験を行い、金属-絶縁体相転移と巨大磁気抵抗効果を発見した。 L2_1型ホイスラ-合金で、擬二元系合金Fe_<2+x>V_<1-x>Gaは、xが0から1の範囲で強磁性であるが、電気抵抗の温度変化の測定で、キューリ-点付近に奇妙な抵抗極大が存在することが知られていた。この抵抗極大の物理的意味は不明である。我々は、この合金系の磁化が消失する組成x〜0の付近に注目し、電気抵抗、磁気抵抗、磁化測定を行った。x=0のFe_2VGaでは、磁気抵抗の測定を4.2Kで、B=5.5Tまで行ったところ、50%に近い負の巨大磁気抵抗効果を発見した。この結果は合金系のバルク試料としては記録的な値である。また、x<0の試料では電気抵抗の温度変化が、あたかも、半導体のように温度と共に減少した。仮にエネルギーギャップを見積もると0.03eVであった。x>0の強磁性試料では、電気抵抗の磁気散乱成分が極端に大きいことなどもわかった。 以上の測定から、我々はこの合金系で金属-絶縁体相転移が起きており、その転移は合金中の磁気モーメントの整列が引き金となっていることを提唱した。すなわち、Fe_2VGaは半導体で、磁気不純物の磁場による整列で、金属に転移すると考えると、抵抗極大の現象が理解できる。また、L2_1型のホイスラ-合金としては初めて半導体を発見したことになる。これらの結果は極最近のバンド計算の結果で裏付けられた。 以上の結果を速報論文として投稿し、国際会議(H.9.7)にも発表を予定している。
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