コンピュータネットワーク中の情報流の変動を統計物理学の立場から解析するため、観測と数値モデルによるシミュレーションを行った。観測としては、従来の単一の目的地点へのエコー実験を精密化し、遠方の目的地に至る経路のすべてのルーターに対して同時にエコー実験を行った。その結果、各ルーター間においてパケットの渋滞の伝幡が観測された。また、パケットの輸送過程をネットワークの分岐構造を簡単化したケーリ-格子上でモデル化し、数値シミュレーションによる解析を行った。その結果、端末から入る情報流は無相関であっても、情報伝達の過程で渋滞のメカニズムによってゆらぎが増巾され、フラクタル的な巨視的ゆらぎを生じることがわかった。
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