研究課題/領域番号 |
08874040
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
松澤 通生 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (10010943)
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研究分担者 |
日野 健一 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (90228742)
渡辺 信一 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (60210902)
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キーワード | クーロンカ / 3体問題 / 長距離相互作用 / 超球座標 / 超球楕円座標 / エグゾチック原子系 / Wannierの閾則 |
研究概要 |
3体系は非可積分系であることにより、解析解を得ることは出来ない。このためその理解は不十分であった。これは一つにこの系を記述するに適当な座標系がなかった事による。最近我々のグループでこの目的に対する最も自然な超球楕円座標が発見された。従来は水素分子イオンのように2つの陽子の質量は電子の質量に対し無限大とみなす近似により、この問題を扱ってきたが、この近似ではdtμ分子イオンのような3体系には適用できない。 上記超球楕円座標の採用は任意の質量比の3体系を精度よく記述する事を可能にした。具体的にはクーロン力で相互作用する3体系の内部運動を記述する場合に有効な量子数すなわち超球惰量子数の組が見つかった。これにより水素分子イオンや反陽子ヘリウムのようなエグゾチックな系も含めて統一的な取り扱いが可能になった。またクーロン相互作用は長距離型で、非可積分系で不可決な数値計算の上でその精度の高い変数の離散化の方法すなわちゆっくり変化する変数の離散化法(slow variable discretization method:SVD method)の開発を行った。これにより反陽子ヘリウムやdtμ分子イオンのようなエグゾチックな系も含めて任意の3体系に対して非相対論の近似内で、非常に精度の良いエネルギー準位の計算が可能となる理論的枠組みが確立した。 更にこれらの方法を連続状態を含む散乱の問題に適用した。水素原子の電子による、イオン化の問題について、閾値近傍での非常に遅い2電子間の電子相関を精度よく取り入れ、Wannierの閾則を全く非経験的な数値計算により量子力学的立場から導出する事に始めて成功した。又従来の超球座標によるdtμ系のtμ(n=2)の閾値の上の弾性散乱、非弾性散乱、ミュウオン移動過程を研究し、断面積における引力型の双極子場による振動構造を発見した。
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