研究課題/領域番号 |
08874041
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
青木 禎 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00012477)
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研究分担者 |
山口 俊夫 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40256475)
松本 みどり 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70260958)
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キーワード | 単一光子状態 / 自己相関関数 / カスケード遷移 / 干渉計 / 波束 |
研究概要 |
この研究は、水銀原子の自然放出を利用して単一光子状態の波束を作り、長光路差マイケルソン干渉計で可視度曲線を測定し、波束の形状を観測することを目的としている。1個の励起原子からは1個の光子が自然放出されるが、多数の原子がある場合でも自然放出確率に比べて励起レートを十分に小さくすることにより個々の波束は単一光子状態になる。このような量子的波束はアンチバンチド状態にあり、通常光を減衰させただけの古典的波束とは異なるので、その波束の形状測定は興味深い課題である。 まず、水銀原子-電子線衝突装置を作成し、その蛍光を測定した。陽極電圧700Vの電子線を衝突させると水銀圧力の増加に対して435.8nm線の強度は非線形敵に増加した。これは水銀のイオン化に伴って発生した2次電子が励起に関与するためであると考えられる。 また、水銀ランプの546.1nm線を長光路差マイケルソン干渉計により測定した。干渉フィルター(半値前幅10nm)だけを用いると、超微細構造・同位体シフト・ドップラー広がりを反映した構造をもつ可干渉距離L=3cmの可視度曲線が得られた。さらにファブリー・ペロ-干渉計(FSR 27GHz、フィネス25)も用いると、複数の同位体を含む線(波数0)ではL=5cm、質量数199だけの線(波数+0.753)ではL=13cmとなり、超微細構造の分離により可干渉距離が大きく延びることが確認できた。しかし、ドップラー広がりによる可視度の見積もりとのずれがあるので、装置の改善を図る必要がある。 これらの結果を踏まえ、水銀原子ビームの電子衝突励起によるドップラー広がりのない光源を使い、単一光子状態の波束の形状測定を行うのが次の目標である。
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