研究概要 |
本研究の主要な目的は,従来から実施してきた精密重力測定,地下水位測定に,精密水準測量を加え,別府地域における水位変動と重力変化,さらには地殻変動との関係,変動のメカニズムを明らかにすることにある. 従来,別府地域の重力変化の特徴としては,降雨による地下水位変化が地下における質量変化として直接的に重力を変化させるモードと,より深部の地下水変動(被圧地下水変動)に起因すると思われる質量変化と圧力伝搬に伴う何らかの地殻内の変動に関連していると推測される重力変化モードの2つが存在することがわかっていた.特に,後者のモードの重力変化については,そのメカニズムを明らかにすることは,地下水と地殻変動との関連を知る上でも重要な情報を与えてくれるものと期待できる. この為,本年度は研究では,従来からの精密重力測定(本年度は,おおよそ2ヶ月に1回の頻度で測定を実施)および地下水位測定(3カ所5点で連続観測を実施)を継続実施するとともに,本年度研究経費で新たに購入した精密水準標尺を用い,1996年9月から,おおよそ2〜3ヶ月に1度の頻度で,新しく設定した水準路線による精密水準の繰り返し測定を開始した. これらのデータの解析結果については,重力と水位の関係については従来のものと同様の結果が得られているものの,水準測量に関しては,測定を開始してからまだ6ヶ月程度しか経過しておらず,今のところ有意な変動を見いだすには至っていない.しかしながら,この種の研究では,最低でも1年以上のデータが得られることが必要があり,来年度も同様の測定を継続実施する予定である.
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