研究概要 |
ジオイド場は平均海水面に一致する等重力ポテンシアル面のため極めて安定しており、滅多に変動はしない.しかし,周辺の密度に比べて重い物質があったり,マグマの貫入等があると起伏や変動を生ずる.これをジオイド起伏,ジオイド変動といっている. 本研究では,このジオイド起伏の短波長変動成分を三角点等上のGPS干渉測位により南九州において検出した.特に,火山のカルデラ壁と一致する場所での短波長起伏が著しいことを世界で初めて検出した.また,桜島周辺では,Yokoyama and Ohkawa(1986)の重力による地下構造と一致するジオイド起伏を検出すると共に鹿児島市と桜島西部との間で地質ボーリングから推定した正断層の落ち込みに相当するジオイド差も併せて検出できた.測地学に基づく時間変動ジオイド理論式を考案し,地殻変動とジオイド変動を分離したところ,桜島周辺ではジオイド変動に比し地殻変動は約1750倍と評価された.1914年時の大正噴火ではジオイド変動は約1.7mmで地殻変動は約3m生じたことが推定された.この値は実測値による茂木モデルから決めた推定値と一致する.この事から,世界で初めて桜島でジオイドが時間変動していることを発見したので,ジオイド時間変動式に実測値を当てはめ,噴火の長期予測と終わりの予測をできるようにした.噴火については,一応の満足できる結果を得た.また,内陸地震については,破壊はジオイド起伏のまわりでそれを発達させないように破壊を生じること,ここでは地震化石(活断層)が発達していることが判った.結果は,1996年ジオイド国際シンポジウム(GraGeoMar96)に提出し,好評であった.
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