今年度は南極から採取された雪、及び氷山氷に0.8Tで飽和残留磁化を加印しその磁化強度を測定した。その結果、試料切断に用いるカッターにより大きな汚染が生じることが再確認されたが、汚染を除去した後でも試料によっては弱い磁化が測定された。 平成10年1月9日と15日の東京に積もった雪を同様の方法で測定したら3.11X10-7Am2/kg以下の磁化が測定された。また新潟県湯沢町の関越高速道路周辺の雪からは最大3.01X10-7Am2/kgの磁化が測定された。以上の研究から、南極氷は磁性粒子による汚染を受けていないが一部の氷には宇宙塵や火山灰などの磁性鉱物が含まれ、飽和残留磁気として測定される。南極氷に対し東京や高速道路周辺の積雪は、南極氷より1000倍以上の磁気的汚染を受けていることが明らかになった。磁化測定は非破壊で瞬時に測定できるため、環境評価の有効な手段となると思われる。 ※(X10-7Am2/kgは、10の-7乗、Amの2乗です)
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