研究概要 |
1)ポルフィリン・メゾ位の高かい反応性はよく知られているが、通常用いられるテトラフェニルポルフィリンやオクタエチルポルフィリンでは、メゾ位のフェニル置換基や立体障害のために、真の反応性があまり発現されてなかった。われわれは、5,15-ジアリールポルフィリンの亜鉛錯体を銀(I)塩で酸化することにより、メゾ位同志でポルフィリンが二量化する新反応を見いだした。低収率ながら、ポルフィリン三量体や四量体も同時に生成する。二量体から同じ条件で四量体も得られる。また、電気化学的な酸化でもこれらの多量体が生成することを見いだし、現在ポルフィリン六量体の生成まで確認した。合成したポルフィリン多量体では、直接にポルフィリン環が結合しているために電子的相互作用が非常に大きく、諸物性の変化も甚大である。特に、三次の非線形光学効果は大きい、また、モノニトロ亜鉛ポルフィリン二量体はDMFのような極性溶媒で著しい蛍光消光を示し、高速の分子内電子移動を行うことが判明した。 2)コバルト触媒によるジフェニルアセチレン架橋プルフィリン二量体の三量化反応でポルフィリン六量体がOne-Stepで生成することを見いだしたが、収率は0.5%以下で極めて低い。その他の経路での環状ポルフィリン六量体の合成を検討し、アセチレン置換ポルフィリンのパラジウム触媒反応で環状四量体まで合成できることがわかった。環状亜鉛ポルフィリン多量体では、亜鉛ポルフィリンモノマーの蛍光寿命(1.5ns)より長い発光成分(4ns)が観測され、光捕集系蛋白質(LH2)との関連で興味深い。
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