固体/溶液界面での電子構造を決定することを目的に、本研究を行った。 具体的には電気化学トンネル分光装置の半導体電極に適用し、主として表面処理のトンネル物性に及ぼす効果を検討するとともに、表面の局所物性を測定可能な新しい走査プローブを開発した。 1.半導体電極の電気化学トンネル分光測定 半導体電極表面をルテニウムを含む溶液中で処理すると、逆バイアス時のトンネル電流が増加し、一方硫黄を含む溶液中では逆バイアス時のトンネル電流がまったく流れなかった。これらの結果は表面準位密度が前者の処理で増加し、後者の処理で除去されたことを示唆している。今後、表面走査を行うことによって表面準位分布の決定手法に展開したい。 2.表面局所物性を測定可能な新しい走査プローブの開発 STMやAFMといった汎用の走査プローブ顕微鏡では表面の物性を決定することはできない。本研究ではQCMとAFMを組み合わせて、表面弾性の分布が測定可能な装置の開発に成功した。
|