有機超伝導は活発に研究されているが、これらは(TMTSF)_2PF_6や(BEDT-TTF)_2Cu(SCN)_2のようにすべて塩または分子間化合物である。一般に単一有機分子よりなる結晶は大気圧下では絶縁体なので超伝導の研究はできない。単一有機分子であるヨードアニル(C_6I_4O_2)は大気圧下で10^<12>Ωcmと抵抗は高いが、加圧とともに抵抗は急激に減少して、約22GPaで10^<-2>Ωcmに達することをすでに発見している。それ故、超高圧、極低温下でヨードアニルは金属化し、超伝導の発現が期待できる。 我々は極低温、超高圧下でヨードアニルの電気抵抗を測定し、約40GPa下で金属化し、55GPa下で約2Kで超伝導と思われる電気抵抗の急滅を発見した。これは磁場依存性もあるので超伝導であることはまちがいない。また、超高圧下においてヨードアニルの赤外線吸収スペクトルを調べて振動モードを解析し、高圧下で金属化することによるヨードアニルの分子解離がないことを見出した。それ故ヨードアニルは単一有機分子として初めて超伝導が発現した物質である。
|