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1997 年度 実績報告書

ベイツ式擬態の進化

研究課題

研究課題/領域番号 08874104
研究機関京都大学

研究代表者

大崎 直太  京都大学, 農学研究科, 助教授 (70127059)

研究分担者 金城 政勝  琉球大学, 熱帯生物園研究センター, 助教授 (90117573)
キーワードベイツ式擬態 / 進化 / チョウ / シロオビアゲハ / 性選択 / 非擬態型 / コスト / カロテノイド
研究概要

チョウのベイツ式擬態は、ほとんどがメスにのみ擬態型を発現する。その理由は、いまだに検証されていない謎である。しかし、おそらくはこうであろうと言う唯一の仮説は、ダ-ウィンが唱えた「メスによるオスに対する性選択仮説」である。昨年度は、シロオビアゲハを用いて、この仮説の検証を試み、否定的結果を得た。今年度はこれに代わる仮説を設定するために、擬態のコストを計測する実験を試みた。
実験は、伊丹市昆虫館と沖縄八重山諸島で行った。伊丹市昆虫館では、幼虫の発育時間と成虫の寿命を計測した。その結果、擬態型の特徴となる赤色の斑紋が多くなるほど幼虫期間はかかり、成虫の寿命は短いことが分かった。つまり、擬態型になること自体が生理的コストがかかることを示している。
イギリスのロスチャイルドは、擬態型のチョウとそのモデルを比べた場合、モデルの方が10倍近くもカロテノイドの含有量が多いことを示し、カロテノイドがモデルに含まれる有毒物質の抗酸化剤として使われ、太陽の紫外線を受けての無毒化を防いでいる可能性を指摘している。擬態型のチョウがその特徴となる赤色物質をカロテノイドに由来し、抗酸化剤から色彩物質に転化しているなら、その過程で、非擬態型のチョウと比べて生理的に何らかの負荷を得ている可能性が考えられる。
成虫の寿命はオスが最も短かったが、寿命の長さの頻度分布を調べると、5日以内の初期に死亡する個体が多いことが分かった。恐らく、活発な個体が昆虫館のガラス壁にぶつかって死ぬためであろう。この事は、オスの飛翔は活発であり、オスは天敵から有効に逃げうることを示唆している。一方、擬態型メスの頻度分布は正規曲線に近く、モデルに似た緩やかな飛翔をすることが示唆された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 大崎直太: "メスにのみ擬態型が現れるチョウのベイツ式擬態" 生物科学. 49(1). 3-9 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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