アズキ芽生えの上胚輪切片をオーキシン・ジベレリン存在下におくと顕著な伸長生長が引き起こされる。このとき、細胞膜に存在するチューブリンは変化しないが液胞膜と考えられる膜系に特異的に存在するチューブリンのみが消失する。この植物ホルモンによる伸長生長促進はタンパク質リン酸化酵素阻害剤により完全に阻害されるがこの時液胞膜中のチューブリンの消失が阻害されることからこれらの現象は連動しているのではないかと推測された。アズキ芽生えの上胚軸から液胞膜を連続しょ糖密度勾配遠心により分離し、CHAPSのような界面活性剤により可溶化した後チューブリン抗体とプロテインA-セファロースによる免疫沈降法を行うとチューブリンは分子量約28kDのタンパクとともに得られることから通常は複合体を形成しているものと考えられた。この28kDタンパクは水チャンネルを形成するγ-TIPではないかと推測されたのでγ-TIP抗体を用いてこれを確認した。この事実より液胞膜に存在するチューブリンは水チャンネルを形成するタンパクと複合体を形成し液胞への水の流入を調節することにより細胞生長を制御している可能性が強く示唆された。チューブリン-28kDタンパク複合体の解離・会合がタンパクのりん酸化がホルモン依存的であると考えられるのでその条件を検討しその機構を明らかにする。
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