研究課題/領域番号 |
08874122
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
篠沢 隆雄 群馬大学, 工学部, 教授 (30025449)
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研究分担者 |
大久保 公策 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助教授 (40233069)
佐伯 俊彦 群馬大学, 工学部, 助手 (00241860)
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キーワード | 多細胞モザイク説 / 多細胞生物の起源 / コドン使用頻度 / 恒温動物と変温動物 / オプシン / グロビン |
研究概要 |
多細胞生物の起源は走光性や走化性を有する単細胞生物が多細胞生物の形成過程で細胞集団に混入し、遊泳機能を消失したが、光や化学物質の受容能力を提供する事で視細胞や嗅細胞に進化したと考えている(「多細胞モザイク説」)。これを確認するために臓器特異的に大量に発現するグロビンαβおよびオプシン遺伝子のコドン使用頻度の解析を行った。オプシン遺伝子はサカナ、両棲類、爬虫類、トリ、哺乳類に至る進化の過程で変温動物と恒温動物の境界すなわち両棲類、爬虫類と鳥類との間にコドン使用頻度の大きな断層が存在することが判った。また魚類では例外があった。一方グロビン遺伝子は、魚類は恒温動物タイプに属し、両棲類と鳥類すなわち変温動物と恒温動物の断層はより顕著であった。しかし爬虫類のグロビン遺伝子のデータは報告されていない。また鳥類と哺乳類でそれぞれ変温性のカッコウとコウモリ、および爬虫類で低温を体験したことがないであろう熱帯性のヘビの報告はない。従ってこれらの動物のコドン使用頻度を解析し、棲息環境や恒温と変温の対応が存在するか検証する必要が明かとなった。爬虫類のトカゲ、温帯性のヘビ(アオダイショウ)と熱帯性のヘビ(タイコブラ)のグロビン遺伝子の解析を行っている。これらのデータを集積する事でコドン使用頻度からその動物(滅びた動物も含め)の体温や棲息環境を知る事が可能となる。また「多細胞モザイク説」の観点では、視細胞の光情報伝達系のタンパク質であるオプシン、Gα、Gβ、およびサイクリックGMP合成酵素などのコドン使用頻度をウシに於て解析し、オプシンとGαおよびサイクリックGMP合成酵素のコドン使用頻度が顕著に類似している事が判った。これは多細胞生物の形成過程で機能が連関した遺伝子が同時に持ち込まれた事を示唆している。このアプローチの発展で既に混合している遺伝子の由来が解析できる。
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