小型で支点アーム一体型の電磁フィードバック制御式真空天秤を、平板電極型高周波放電装置に取り付けた。±0.1μgrの精度で10gr程度の物体の質量を計測できるはずであるが、10^<-2>〜10^<-3>Torrの希ガス雰囲気中では、真空容器の内部の様々な温度差に起因するわずかな流れが生じ易く、表示値がドリフトを起こすことが判明した。これを少なくする目的で、天秤を入れた容器と放電容器の間の直管を細くし、かつ水を外側に溜める部分を設け、熱容量を大きくした。プラズマの発生による温度上昇はこれにより天秤部分にはほとんど伝わらないはずである。 次に天秤から吊り下げた1cm×1cmの電極がプラズマから受ける力を天秤の示す重量変化から求めてみた。最も大きく働くのは静電気力で、電極がプラズマに対して負に帯電しているためである。しかし、ガスの流れよりはむしろ浮力が電極に働くこと、運動量変化による力積の平均値を求めるための配置が難かしいことなどにより、全ての力の要因ごとの見積りはできていない。静電ポテンシャルの制御と間接的計測のために小型の静電グリッド式のプローブを用いて、天秤から吊り下げた電極に静電気力の働かないようなバイアスをかける工夫をしている。こうして力積の平均値を求めることを期待している。またスパッタリングにより電極に堆積物が生じるが、この質量変化は、日差が大きいために計測できないことが判明した。
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