研究概要 |
すでに、EuとSmをドープしたSrS蛍光体において、250[nm]から550[nm]までの紫外および可視光線で一次励起した後、約1500[nm]の赤外光で刺激することによって、約650[nm]の波長にピークをもつ強い光刺激ルミネッセンス(Optically Stimulated Luminescence:略してOSL)を観測ができること確認している。本研究では、これまでに蓄積してきたOSL現象に於ける知見をもとに、本年度は、新規なOSL蛍光体の探索および上述の蛍光体の薄膜化の検討およびその光メモリ特性の評価を行い、光メモリ素子用媒体として利用可能な蛍光体の基本的な光学的特性の評価を目的に研究を行った。 その結果、次の成果が得られた。 (1)II-VII族化合物蛍光体であるSrS : Eu,Sm,CaS:Eu,SmおよびCa_xSr_<1-x>S : Eu,Sm蛍光体がいずれも紫外線あるいは短波長の可視光線照射により強いOSLを示すことが確認でき、光メモリ用媒体として利用が十分可能であることを明らかにできた。又、これらの蛍光体が薄膜化が可能な材料であることも実験的に確認できた。 (2)上記、蛍光体におけるOSLのフェーディング現象(情報を書き込んだ後に、室温で放置すると情報の一部が減衰する現象)について検討を行い、そのメカニズムに関して知見を得ることができた。 (3)書き込み光とOSL強度の関係を調べた結果、このOSL現象を利用した光メモリ素子が、光による情報の書き込み、読みだしおよび消去が自由にできるディジタルメモリとしては勿論のことアナログメモリとして利用できることを明らかにできた。
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