研究概要 |
分子の大振幅振動や結晶のフォノン振動はテラヘルツ領域にあることは良くしられていることだが、簡便な光源があまりないために、この分野の研究はあまり進んでいない。そこで、まず、簡便で高強度のテラヘルツ光源の探索を行った。昨年度は、800nmの超短パルス光をガリウムヒ素に照射することにより、テラヘルツが発生し、磁場を加えることにより、強度が増加することを見出した。本年度はインジウムヒ素について行った。 チタンサファイアレーザーの800nm(70fs,80MHz)の光をドープしていないインジウムヒ素の基板に45度の角度で照射し、インジウムアンチモンのボロメーターで検出したところ、テラヘルツの電磁波の発生が確認された。レーザーの入射方向と平行に磁場を加えたところ、以前報告したガリウムヒ素と同様にテラヘルツ放射の増強が確認された。マイケルソン干渉計でこのテラヘルツ放射の分光を行ったところ、1THzと0.7THzにピークを有するスペクトルがえられた。次にテラヘルツ放射の偏光の磁場依存性について検討した。0.25テスラの磁場下では、テラヘルツ放射はほぼ円偏光となっていたが、それより、高い磁場下ではほぼ直線偏光となった。反対方向の磁場を加えたところ、位相は逆転した。現在、テラヘルツ発生機構の詳細について検討している。
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