研究概要 |
光ファイバを構造物中のき裂検出センサ,一液性熱硬化型のエポキシ樹脂をゴムカプセル内に封入し,熱により樹脂をカプセル内から放出するアクチュエータを試作した.これを用いて,CFRP貼付補強コンクリートにおいて生じるFRPのはく離を検出,補修するインテリジェント化を行った.光ファイバに曲げ変形を与えると伝送光の一部が漏れる現象に注目し,構造物に貼付けることによりはく離損傷を検出する手法を確立した.確認のため,コンクリート構造物のモデルを作成し,三点曲げ試験により補強CFRPのコンクリートからのはく離を光ファイバセンサで検知できること,また,予め埋込んでおいたアクチュエータによりはく離の補修を行えることを確認した.また,効果的な補修を行うためのセンサ及びアクチュエータの配置を設計した. 一方,貼付けたFRPは繊維方向には強度が高いが繊維と垂直方向には弱く,損傷が発生しやすい.そこで,FRPに生じる損傷をインテリジェント化によって検出,補修する手法へと研究を発展させた.FRPのマトリックス中に微細き裂補修のための接着剤粒子(平均粒径40μm)を分散させ,自己補修能力を持たせるインテリジェント化の試みを行った.FRPを製作する前段階として,エポキシ樹脂中に粒子を分散させた試験片を作成した.三点曲げ試験を行いき裂を発生させた後,加熱により粒子を活性化させ,き裂部の補修を行った.補修後の強度を測定した結果,補修効果が確認された.また,強度低下を最小限に抑えた上で補修効果を最大にするための最適な配合量は粒子を体積含有率で約40%であることが実験結果から判明した.
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