研究課題/領域番号 |
08875057
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
谷下 一夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10101776)
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研究分担者 |
山田 寛幸 慶應大学, 医学部, 助手 (90182550)
池田 満里子 慶應大学, 文学部・生物学, 教授 (00051368)
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キーワード | 動物内皮細胞 / メカノレセプター / マイクロマシン / 物質取り込み / リモデリング / 細胞工学 / せん断応力 |
研究概要 |
動物細胞や微生物は力学的な刺激を受けると、その機能や形態を変えて、その力学的環境に適応する事実が、80年代以降次第に明らかになって来た。血管系の細胞、肝臓など各種臓器の細胞、微生物、微細藻類などに関しては力学適応に関する興味深い成果が研究代表者らによって出されている。例えば、血管の内皮細胞は力学的刺激を受けて形や機能を変え、さらに血管を増やしてゆく血管新生を起こしている。このように内皮細胞は力学的刺激によって特異に応答する。細胞の性質を利用して所定の力学的刺激を与えると、傷害された生体組織の修復再生を内皮細胞自身によって行うことが可能となる。その結果、内皮細胞や肝細胞をマイクロシステム化してマイクイロマシンを構築し、組織内に留置して力学的刺激で細胞増殖を行い、血管や肝臓の回復を可能とするような細胞マイクロマシンシステムが可能となる。 動脈内表面に分布している内皮細胞の挙動に着目し、内皮細胞に微視的なレベルでの力学的環境を制御することによって、細胞による生理活性物質の分泌や物質の取り込みを行い、細胞レベルでのマイクロバイオリアクターを実現させる。実際には内皮細胞による物質取り込みや分泌を蛍光レベルした物質の挙動によって観測した。その結果、流れによる剪断応力が低い所で、物質取り込みが最大となり、剪断応力が増加するにつれて取り込みが逆に減少することがわかった。この挙動を明確にするため、細胞内のミトコンドリアの活性を調べるためにミトコンドリアの膜電位感受性色素によって測定を行い、物質取り込みのエネルギ的側面に関して検討を行った。細胞のエネルギ的側面は、細胞マイクロマシンを実現する際、中心的な役割を果たすため、重要な要因であり、これらの結果から、細胞工学的応用の可能性の切り口を付けることが出来た。
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