本研究により得られた結果を以下にまとめる。 異なる3種類の成長雰囲気(高真空中、窒素ガス中、窒素プラズマ)中で作製した窒化アルミニウム(AlN)薄膜の結晶性を比較し、最高な成長雰囲気の決定を行った。窒素プラズマ雰囲気で成長させたAlN薄膜が最も高い窒素含有率を示し、最も短波長側でカソードルミネッセンスピークが現れたことから、窒素プラズマ雰囲気中でのレーザーアブレーションにより作製したAlN薄膜が、3種類の成長雰囲気で作製したサンプルの中で最も良い結晶性であることが分かった。 基板面方位・基板温度がAlN薄膜結晶性に及ぼす影響について調べた。Si(100)面上に作製したAlN-薄膜は、基板温度800℃以下では(0002)面に配向しているが、900℃以上では温度が高くなるに伴い無配向性が増大する、つまり(101^^-1)面の成長の割合が大きくなることが分かった。Si(111)面上に作製したAlN薄膜は、基板温度700-900℃において(0002)面に配向した薄膜が得られた。X線ロッキングカーブの半値幅による評価から、AlN(0002)/Si(100)よりもAlN(0002)/Si(111)の方が優れた結晶性を有し、基板温度が高くなるにつれて結晶性が向上することが分かった。 高純度AlNターゲットを用いてAlN薄膜結晶性の改善を試みた。現在までのAlN薄膜に関する報告の中で、ピーク位置が最も短波長で、ピーク半値幅が最も狭いCLピークが観測された。高純度AlNターゲットのCLピークよりもAlN薄膜のCLピークの方が、短波長側に位置し、より狭い半値幅を示した。また、成長温度が高くなるほど、AlN薄膜の結晶性が向上し、950℃で最も良い結晶性を示した。
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