研究課題/領域番号 |
08875091
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
龍岡 文夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70111565)
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研究分担者 |
佐藤 剛司 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (30092224)
小高 猛司 京都大学, 大学院・工学研究科・土木工学専攻地盤工学講座, 助手 (00252271)
吉嶺 充俊 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (80251338)
古関 潤一 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (30272511)
東畑 郁生 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20155500)
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キーワード | 地盤材料の変形特性 / クリープ / セメンテイション / Ageing / 三軸圧縮試験 / 微少ひずみ |
研究概要 |
実作用荷重による大規模重要構造物の変位と地盤の変形、及び構造物・地盤の内部応力と接触応力を推定するために、地盤材料の小ひずみでの変形特性を正確に求める研究を行った。とくに、密な砂・礫・洪積粘性土、セメント改良土、自然堆積軟岩、人工軟岩等を用いて実作用荷重で地盤内に発生するひずみレベルの0.5%以下でageing(クリープ、セメンテイション等)の影響、三主応力状態での変形特性を実験的に研究した。 1)堆積軟岩やセメント改良土の三軸クリープ試験では、通常載荷軸や試料キャップの軸変位から供試体の軸ひずみを求めるが、クリープひずみには通常の単調載荷試験の場合よりも遥かに大きな誤差が含まれる。これは、供試体上限端面でのベッディングエラーが、クリープ変形時に特に大きいからである。以上の結果は、従来のクリープ試験法を抜本的に改善する必要性を示している。 2)硬質地盤材料を対象とした、高容量でかつ微小な三主ひずみが正確に測定できる真の三軸試験装置を開発した。堆積軟岩の同一の供試体を用いて、鉛直方向と水平方向のヤング率を直接測定した。その結果、試験をした上総層堆積軟岩には、水平方向の剛性が鉛直方向の剛性よりも10-20%程度大きいと言う弱い初期異方性があること、水平応力が一定の下で鉛直応力を増加させると、鉛直方向のヤング率は増加するが水平方向のヤング率は殆ど増加せず、損傷のため却って若干減少すること、一定の鉛直応力の下で水平応力を増加させると、逆なことが生じることが分かった。これは、応力状態誘導異方性である。真の三軸装置を活用することにより、これまで情報の空白が多かった弾性compliance matrixがかなり判明してきた。 3)堆積軟岩でも、所定の応力状態でのageingは、載荷開始の後の小ひずみ状態での変形特性に対して、大きな影響があることが分かった。 4)セメント改良土において、ageing中にセメンテイションが生じると。その時の粒子配列構造がロッキングされたような状態になり、載荷再開後に非常に大きな応力範囲に対して高い剛性を示す。これは、原位置においても地質学的時間スケールで生じるものと思われる、本実験結果はそのメカニズムの解明に貢献できる。
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