研究概要 |
本研究では、自然海浜モデルとして、一様勾配斜面を風洞水槽の一端に取り付け、沖側から岸に向かって風を吹かせて、水表面に作用する風応力を広範囲に変化させる実験を行った。そして、波と流れの同時計測を行うことにより、水表面における抵抗係数、浅海域に形成される風波の特性、風によって駆動される流れおよび乱れの特性について検討を行った。 実験には、長さ32m、高さ0.94m、幅0.6mの二次元風洞水槽を用いた。水槽の風下側に勾配1/30の傾斜海浜モデルを設置し、実験水深は水平床部で30cmとした。水面上での断面平均風速は、7.60〜21.8m/sにおいて5種類とした。風速、風波、流れの測定は、水平床部から斜床部において、2m間隔で5断面とした。風速にはベーン式風速計、風波には高精密度容量式波高計、また、風により駆動される流れの測定には高精密度2方向を電磁流速計を用いて測定した。得られた結果は以下の通りである。 a)水表面における抵抗係数C_D(ここで、C_D=(u_<*a>/U_<10>)^2、u_<*a>は風の摩擦速度、U_<10>は高さ10mにおける平均風速)は、波風係数u_<*a>/c_m(ここで、c_mは卓越波の波速)に対してプロットすることにより、普遍的に関係づけられる。 b)無次元化された卓越波のエネルギーφ(f_m)f_m/E(ここで、E,f_m,φ(f_m)はそれぞれ、風波エネルギー、卓越周波数およびそのエネルギー密度)の値は、ア-セル数U_r(ここで、U_r=HL_m^2/h^3,Hは風波の平均波高、hは水深、L_mは卓越波の波長)の増加に伴って減少する傾向にある。 c)水平床上で誘起される流れは、水の摩擦速度u_<*w>と水深hで普遍表示され、最大沖向き流速は1.5u_<*w>となる。また、斜床上では、水深が浅くなるにつれ、沖向き流速は大きな値をとる。
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