研究概要 |
阪神・淡路大震災以降、安全性、耐震性に関する意識調査が、様々な形で実施され、それ以前には、建築物・インフラトラクチュアが地震被害を生ずることを意識していなかったのに対し、住宅購入時にも耐震性が判断基準の上位に位置されるなど、社会全体が耐震性に強い関心を持っていることが明らかにされている。地震被害報告は、日本建築学会初め多くの研究機関から公表されているが、耐震安全性水準の実態は必ずしも議論できる形で整備されていない。 建築研究所により公表された被害データベースと地震動強さの分布に関する資料をもとに、被害程度と地震動強さの関係を統計的に把握した。マクロな分析結果として、小破、中破、大破を生ずる平均的地動加速度としては、それぞれ、約700Gal,900Gal,1100Gal程度であることを明らかにした。変動係数は30%〜40%と推定され、現行規定の許容応力度に対して80Gal、保育耐力に対して400Gal程度と比較して、設計と実態との関係を把握する基本的認識と設定できる。 小破、中破、大破に到った建築物の補修費用に関するデータ収集に基づき、平均的単価がそれぞれ30,000円/m^2,45,000円/m^2,55,000円/m^2であることを明らかにした、変動係数は、120%〜150%と大きいことが特徴であるが、総費用最小化概念に基づく最適信頼性解析に組み込み、観念的に財産保全に対する意識に対して、定量的な分析に基づき安全性水準の具体的な値を求めた。小破の発生耐力の設計における役割を明らかにした。
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