研究概要 |
本研究は,構造部材あるいは架構要素のみを対象に加力実験を行い、その他の部分については数学モデルを設定した地震応答解析を実施し,これらをコンピュータでオンラインに結ぶことにより建物全体の応答実験を進める手法である,サブストラクチャ・オンライン実験を対象に,その解析部分に用いる履歴特性に対して,ニューラルネットワークを用いた履歴推定手法の適用可能性を検討することを主目的としたものである. 本年度の研究ではまず検討に用いるネットワークモデルとして,階層型ネットワークを設定し,Ramberg-Osgoodモデルを対象に履歴曲線の推定能力を検討した.入力ユニットには現在の変位,現在までの最大復元力および最大変位,履歴曲線上の最新の折り返し点(変位および復元力)の計5データを設定し,出力値すなわち推定すべきデータとして現在の復元力を設定した.このネットワークに対して,(1)学習時の最大許容誤差と推定能力の関係,(2)履歴面積が異なるループに対する推定能力,などについて検討した.その結果,許容誤差を10^<-3>および10^<-5>に設定した場合,いずれの場合においても学習値以外の入力に対する履歴特性の推定は可能であったが,その推定精度は許容誤差に依存し,許容誤差の小さい場合の方がその推定能力が高いことを確認した.また同時に,学習時の最小値を越える領域に対する推定能力には限界があり,その能力は出力値を算出する際の荷重係数に支配されることをニューラルネットワークの構成上の特性を定式化することにより明らかにした.
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