味覚についてその心理作用創出の手法をフランス料理を例にとって考察する。 コース料理の構成は、日本料理とよく似ており、基本的には季節のものをメインに持ってきて構成する。 オードブルから始まるがそれが冷製(常温)のものであるのは、白ワインに合う料理ということである。白ワインから始まるという決まりはなく、軽い料理から始まり、メインは重い料理である。フランス料理はあくまでワインとの組み合わせで食する料理である。それ故にソースを同じワインをいれたものにすることで、ワインと料理とを協調させる。料理のコースもワインにより素材を決めることもあるほどワインに重点を置いている。 フランスでは冬でも日本より室温が高い、夏冬での冷製、温製の変化はあまりない。 次にス-プが出てくるが、これは日本におけるお澄ましとは違い、一つの料理としてとらえられている。 メイン料理は二つある。温かい料理が主であり、冷たい料理はほとんどない。フランス料理は、ソースの味が決め手である。したがって、ソースの味を左右する香辛料は重要な要素の一つである。 メインの素材は、食卓や門に飾って、招いた人に対してこれからの料理に対する期待感を抱かせる。 メインとメインの間には、口直しとしてソルベや季節の果物などを食するが、それらは味に強い自己主張のあるものではなく、前の料理の味を消し去り、次のメインの料理の味を新鮮に味わうことができるためのものである。
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