研究課題/領域番号 |
08875127
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
隅山 兼治 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (70101243)
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研究分担者 |
今野 豊彦 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90260447)
鈴木 謙爾 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (10005861)
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キーワード | 強磁性体 / 酸化物 / 薄膜 / 電気抵抗 / 光物性 / 機能材料 |
研究概要 |
強磁性でしかも電気伝導性を有する酸化物薄膜としてユーロピウム酸化物、EuO、に着目し、気相合成法により再現性よく組成と磁気的性質を制御する技術を確立することを目的に実験を開始した。EuO中でEuは2価の状態で存在するが、わずかの酸素分圧の差で3価のユーロピウム酸化物が生成してしまうため、熱力学的に反応を制御することは不可能であることがわかった。このため、真空槽中で基板に対してユーロピウムを蒸発させながら同時に酸素を直接吹きかける方法を採用し、酸化物形成のkineticsを変えることによりEuOを安定に合成することを試みた。 その結果、(1)室温でもEuOは生成し、非化学量論的組成範囲は基板温度が低いほど広がること、(2)吹き付け酸素量と蒸着Eu量との比を制御することにより、EuO中の酸素欠損量を再現性よく制御できること、(3)そのような酸素欠損の多いEuOのキューリ-温度は通常の70Kの倍近い150Kであること、などを確認した。 一方、組成を希土類金属-酸素の単純二元系に遷移金属を加えた三元系に拡張することも試みた。すなわち、上記したEuとFeの酸素に対する親和力の差を利用し、EuOの合成と同時にFeを蒸着し、Fe-EuOグラニュラー薄膜を生成した。このような三元同時蒸着下においては基板温度200°C以下ではEuが選択的に酸化される前にFe-Eu-O系のアモロファス相ができることが明らかとなり、FeとEuOの相分離を行うためには300°C以上にファス相ができることが明らかとなり、FeとEuOの相分離を行うためには300°C以上に基板を加熱する必要があることが判明した。以上の方法で作成したFe-EuOグラニュラー薄膜は室温では通常の強磁性的挙動を示したが、5Kにおける磁化や磁気抵抗は4Tでも飽和せず、EuOとFeの磁気モーメントが非平行に配列していることを示唆する結果が得られた。
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