研究概要 |
[概要]鉄-チタン系合金および鉄-クロム系合金(いずれも主成分は鉄)について,ガス窒化およびプラズマ窒化の速度に及ぼす希土類元素の添加効果を調べた。上記2種の試料の窒化反応を行う際に,試料近傍にランタン塊を置き,530℃にて窒化を行い,窒化層の物性と組織の特徴を観察し,ランタンが近傍に無い場合との比較を行った。 [結果]1時間〜7時間までの窒化時間において内部窒化層は放物線則に従って進行した。窒化層は,未窒化の領域にくらべて著しく硬度が上昇し,その上昇度は析出物の体積分率の平方根にほぼ比例した。鉄-クロム系合金よりも,鉄-チタン系合金の方が窒化層境界が明瞭であり,溶質元素単位量あたりの硬度上昇が大きかった。ただし,鉄-クロム系の場合は析出窒化物の組成に広がりがあるため,試料表面から内部へ向かっての硬度のプロファイルにはいくつかの段ができた。530℃での本実験においては,ランタン塊の設置は,内部窒化層の厚さと硬度に対してはあまり大きな効果が見られなかった。外部窒化層(いわゆる白層)の厚さについては,ランタンを近傍に設置した試料のほうがランタンを設置しなかったものよりも厚くなった。この原因は,プラズマによってスパッタされたランタン窒化物であると考えられ,現在,電子顕微鏡とX線マイクロアナライザによる組成分析により同定作業を行っている。 [9年度の方針]希土類添加効果を詳細に検討するために,ランタン塊の量を増やすとともに,設置形態(試料側から見たランタン塊の位置や立体角)を変更して実験を行う。
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