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1996 年度 実績報告書

凝縮系物質のフラクタル性

研究課題

研究課題/領域番号 08875159
研究機関京都大学

研究代表者

河合 潤  京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60191996)

キーワード化学計測 / 物質情報
研究概要

自己相似性があり、特徴的な長さを持たない複雑な図形をフラクタルと呼ぶ.フラクタルには次元が定義できる.ある図形が全体を1/aに縮小したa^Dこの相似図形からなるとき,この指数Dをそのフラクタル次元と定義する.この次元はフラクタルの複雑さを定量的に表した尺度である.化学計測における測定精度とフラクタル性についてシミュレーションを行い,単行書を執筆した.以下に要約する.
コッホ曲線は触媒表面の断面とも考えられる.コッホ曲線の長さを測量することを考える.ある大きさの円状分子を表面に単分子層だけ吸着させることによって長さの計測が可能である(もちろん現実には球状分子を使って面積の測定をおこなうことになるが,ここでは簡単のため円状分子を考える).直径の比が4:11の大きい分子と小さい分子を用いて吸着実験をしたとき,小さな分子の直径を単位として,あるコッホ曲線の長さを測定すると43単位,大きい分子を単位としたときの長さが11単位であったとする.ここでコッホ曲線にフラクタル性がなければ大きさの違う物差しで測定しても長さは普遍であるが,コッホ曲線の場合には小さな物差しを使うほど,見かけ上長さが伸びたように観測される.この化学計測をもとにコッホ曲線のフラクタル次元を計算すると,1.34となり,定義から求めた次元1.26とほぼ一致する.これとは逆に小さな物差しを使うほど,短く観測される場合にはD<1である.
このように長さに限らず,なにかの量を2種類の物差しで測ったときに,違う結果を得た場合,従来は,計測の誤差として片づけられたが,その量がフラクタル性を持っていると解釈した方が適当な場合もある.上では規則的なコッホ曲線を例として取り挙げたが,不規則な構造の曲線に対してもフラクタル次元の実測が可能である.また長さに限らず面積や質量の測定にもフラクタル性が現れると考えられる.

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 河合潤 他: "化学計測学" 昭晃堂, 240 (1997)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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