研究課題/領域番号 |
08875162
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
井上 勝利 佐賀大学, 理工学部, 教授 (90039280)
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研究分担者 |
大渡 啓介 佐賀大学, 理工学部, 助手 (70243996)
吉塚 和治 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (70191567)
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キーワード | カリックスアレーン / カリックスアレーン樹脂 / 溶媒抽出 / 吸着 / 選択性 / イオン認識 / 銀 / パラジウム |
研究概要 |
平成8年度はカルボニル基の官能基を有するカリックスアレーン化合物、すなわちアミド型、エステル型、およびケトン型のp-tert-オクチルカリックス[4]アレーン化合物と比較のためにそのモノマー体を合成し、塩酸と硝酸中からの銀(I)とパラジウム(II)の抽出挙動について比較、検討した。その結果、モノマー体では他の抽出剤と同様にパラジウムの方に選択性が大きく片寄っているのに対して、カリックス[4]アレーン化合物ではその傾向は逆転し、大量のパラジウム中から銀を高選択的に抽出することが分かった。これはモノマー体では金属イオンが陰イオン錯体として抽出されるのに対して、カリックスアレーンでは陽イオンの形で抽出されるためと結論された。このため金属陽イオンのペア-となる陰イオンとしてジノニルナフタレンスルホン酸のような油溶性の大きなイオンを用いると銀の抽出が大幅に促進されることが分かった。3種の官能基を比較するとアミド型やケトン型のものではこのような特性が発現されるのに対して、エステル型の場合は抽出がかなり劣ることが認められた。またカルボン酸型のp-tert-オクチルカリックス[4]アレーン化合物を用いて塩酸と硝酸中からの鉛(II)と亜鉛(II)の抽出についても検討した。その結果100〜500倍過剰に存在する亜鉛中から数ppmオーダーで共存する鉛(II)イオンを定量的に抽出する事が認められ、この分子が鉛イオンに対して他の抽出剤では見られない程高度の認識・分離機能を有していることが分かった。さらにこのカルボン酸型のカリックス[4]アレーンをポリアリルアミンの母体に固定化した、カリックスアレーン樹脂の調製にも成功し、過剰量の亜鉛中から微量の鉛イオンを高選択的にトラップすることを明らかにした。
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