|
本研究は、電解装置の設定条件等により反応速度や反応種制御ができる有機電解合成を、分子アーキテクチャーに応用しようとするものである。本発明は、まず、有機電解合成条件のファイン制御が可能な有機電解合成装置の作成を行なった。さらに、この装置を用いて、電解カップリングが可能ないくつかの分子に対し、分子アーキテクチャーに適した反応条件を検討した。なかでも、代表的光機能分子であるポルフィリンに着目し、多数のポルフィリンからなる巨大分子系を構築した。
(1)軸方向ならびに面方向にオリゴンチエニル基を持つポルフィリン誘導体の電解反応
軸方向ならびに面方向にオリゴチエニル基を持つ複数のポルフィリン分子の混合系で、電解酸化カップリングによる巨大分子系構築を行なった。また、これらの電子機能について検討した。
(2)Pポルフィリンの軸結合の電気化学反応による交換とこれを用いたオリゴマー合成
P(V)ポルフィリンの軸結合が、電解還元反応により容易に交換できることを明らかにした。これをもとに、種々の構造をもつ配列分子系のステップワイズな合成を試みた。その結果、長時間の電解還元反応により、高分子量の化合物が得られることが明らかになった。
(3)メソ無置換ポルフィリンの合成と電解反応
ポルフィリン間の配向や距離を制御しながら接合することをめざして、メソ位に置換基を持たないポルフィリンを合成し、これらの電解酸化について検討し、電解酸化により高分子量化合物が得られることを明らかにした。
|
