研究概要 |
1.インデニル基と3級ホスフィノ基を種々の長さのアルキレンスペーサーで繋いだ新規Cp-P配位子PR_2(CH_2)_nC_9H_6(n=2,3,4;(Cp-P)_n)の一般的な合成法を確立した。そのロジウムカルボニル錯体(Cp-P)_nRh(CO)を合成し、アルキルホスフィンとの反応を検討しスペーサーの長さにより反応性が非常に異なることを明らかにした。(Cp-P)_<n=4>Rh(CO)とPBu_3との反応ではCOの置換がPR_2の解離、再配位を伴う新たな"lid-on-off"機構により進行することを提唱した。これに反し、エチレンやプロピレンスペーサーを有する錯体との反応ではCOの置換は起こらずη^3-インデニル配位を伴った付加体(Cp-P)_<n=2,3>Rh(CO)(PBu_3)が選択的に得られることを明らかにした。また、ハロゲン化アルキルのロジウムカルボニル錯体(Cp-P)_nRh(CO)への酸化的付加反応を詳しく検討し、ヨウ化エチルが高度にジアステレオ選択的に反応し、(R^*,R^*)-(Cp-P)_<n=2>RhI(COEt)が92%deで得られるのに反し、テトラメチレンスペーサーを有する(Cp-P)_<n=4>Rh(CO)との反応ではもう一方のジアステレオマ-である(R^*,S^*)-(Cp-P)_<n=4>RhI(COEt)が96%deで得られ、酸化的付加の立体選択性がスペーサーの長さにより大きく左右されることを見出した。 2.3次の非線形光学特性の発現などのユニークな特性が期待できる1次元金属ポリマーの合成を目指し、異種金属の直線状配置を可能に出来るO,N,Pの3種の配位元素をもつ3座配位子6-ジフェニルフェニルホスフィノ-2-ピリドン(pyphosH)を用いて種々の金属クラスターの合成を進めた。2核錯体,Pd_2(pyphos)_2(pyphosH)_2,Pt_2(pyphos)_4錯体を合成し、Pd錯体はPd(I)-Pd(I)結合を有するが、Pt(II)錯体はPt-Pt結合を有しないことを明らかにした。また、直線状4核錯体、Cr_2M_2X_2Y_2(pyphos)_4(M=Pd,Pt;X=Cl;Y=Cl,Me)を合成し、3次の非線形光学特性がdπ-dπ共役系に依存することを見出した。
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