ニューラルネットワークを用いて、飛行荷重より生じる実測できる物理量(たとえば歪み、変位など)に基づいて飛行荷重を同定する方法の確立は本研究の最終的な目的である。この目的に達するために、平成8年度には、第一ステップとして、まずニューラルネットワークの荷重同定への適用性について調べた。 ニューラルネットワークの学習データは理論計算で作成した。揚力面を片持ばりとモデル化し、揚力面に働く空力荷重を分布荷重とモデリングした。分布荷重の圧力中心を変化させるように多数の「荷重-歪み」より構成された学習サンプルを作成した。分布荷重より片持ちばりの下表面の10箇所(断面)に生じる歪みを求めた。そして、歪みをNN(ニューラルネットワーク)の入力情報とし、荷重をNNの教師信号(期待の出力値)とし、NNに繰り返して、学習させる。NNの出力の実際値と教師信号(期待の出力値)の誤差がすべて5%に納めた時点で、学習を終了した。 学習データに含まれていない「荷重-歪み』より構成された検査サンプルを作成する。それらの歪みだけ、学習を収束して終了したNNに入力し、荷重同定を行った。学習を収束して終了したNNは迅速に荷重を同定することができた。そして、NNより同定した荷重と理論計算で作成した検査サンプルに含まれた荷重の値と比較した結果、95%の出力は理論値との誤差は8%より低い。そこで、ニューラルネットワークを揚力面の荷重同定へ適用できることが実証された。
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