研究概要 |
粒子法を用いて岩石の破壊の際に生じるクラックを表現した.運動方程式を解いて,各粒子の位置,速度を求めた.応力に関しては,粒子間の歪,歪速度より,偏差応力成分を計算し,比体積より静水圧成分を求め,あわせて全応力を求めた.破壊応力を超えた結合部に関してはクラックが生じたとみなして偏差応力及び負の静水圧を解放した.粒子の分布から静水圧を求めるためにSPH(Smoothed Particle Dynamics)法を応用し,状態方程式には岩石についての実験式であるBirch-Murnaghamの式を用いた.破壊に関しては,引っ張りとせん断破壊に関して単純破壊モデルを用いた. かこう岩に鉄の弾丸が毎秒数百メートルの速度で衝突するケースについて,計算を行った結果,せん断破壊によって衝突部付近に衝突方向に生じる垂直クラック,膨張波を原因し引っ張り破壊によって同心円状に生じる円周クラック,さらに円周方向の引っ張り応力を解放する径方向クラックをシミュレートすることができた.エネルギーの移動経緯をみると,最初の数マイクロ秒で弾丸の持つ運動エネルギーの93%ほどが岩石の破壊エネルギーに費やされ,またその後はほとんどエネルギーの移動が無いことがわかった.宇宙科学研究所によって行われた打ち込み実験と比較すると,クレーター形状のよい一致がみられた.今後は粒子配置密度と計算精度等の検証を行っていく必要があるであろう.
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