海洋構造物あるいは船舶の設計の際、波浪・海氷などの海洋環境要素は、重要なパラメーターであり、それらに関する情報取得のためのさまざまな研究・計測が行われている。しかし、現実には観測手段の限界により、局地的・断片的な情報取得に留まっている。広領域での持続かつ安定的な波浪・海氷の情報に対する要求は増大しつつあり、衛星によるリモートセンシング技術の発達、数値計算及び海洋計測能力の進歩がこれまで困難であった持続かつ安定的な波浪・海氷などの海洋環境情報の取得を可能なものとした。このような可能性を現実のものとし、実用化するための基盤作りがこの研究の目的である。 波浪・海氷などの海洋環境要素は、時間的にも空間的にも変化が大きい現象であり、その実態の把握のための実海域での計測も極めて困難であえる。また衛星搭載されたセンサーの種類により、計測方法や得られる情報の量・質の相違するため、計測しようとする物理量と計測センサーの出力との相関を明らかにする必要がある。 研究の成果は次の通りである。 1.衛星データを可視化するためのツールを開発した。 2.実験水槽にて、マイクロ波散乱計センサーを用い、水面のマイクロ波散乱計測を行い、波浪・風のマイクロ波散乱特性を明らかにした。 3.受動マイクロ波センサーにより計測された海氷情報を海氷の移動・分布シミュレーションに用いるためのデータ処置ツールを開発した。
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