本年度は主にセンサー技術の「花の香り」への適用条件を探った。センサープローブには、高感度で耐久性に優れ、比較的温度や湿度の条件を受けにくく、広範囲のスペクトラムを持つとされる金属酸化物半導体センサーを用いた。 まず、本センサーを用いて花香を識別する際の基本的な分析条件について検討した。すなわち、サンプル容器内の湿度、サンプル気体のセンサーへの導入時間、花を採取してからの経時変化、花の量、枯死した部分の影響について調べた。その結果、湿度を50%以下に抑えるために塩を使用する、導入時間は短時間で行う、採取してからの経時変化は12時間以内であれば影響が少ない、花の量はセンサーの反応量と正相関があるが質的な変化はない、枯死した部分は取り除いて行う等の測定条件を導き出した。 次に以上の測定条件と数種の花の香りを材料に用いて、花香の識別に適したセンサープローブの選定を行った。その結果、花香に対して反応性の良い6種類の異なる半導体センサープローブを用いることで4種の花香を識別できることを明らかにした。また、センサーからの入力信号を元にした花香の識別において、多変量解析の中では主成分分析よりも重判別分析がより識別能が高く、またニューラルネットワーク理論を用いた場合も高い確率で4種の花香を識別できた。 今後はさらに多種の花香を用いた場合に、識別を行わせるのに適した測定条件の選定と、ニューラルネットワークの入力条件や最適学習レベルの検討が必要である。
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