本年度は昨年度の結果をもとに、金属酸化物半導体センサーを用いた花香の識別実験を行った。実験材料の花は、昨年度よりも6種類多い計10種類の香りを持つ花を用いた。金属酸化物半導体センサーも昨年度の倍に増やし、計12種類のセンサープローブを用いた。測定条件は昨年度の条件検討に基づき設定した。 その結果、複数の金属酸化物半導体センサーを用いることにより複数の花香の識別が可能であることがわかった。しかし、10種類の花香全てを完全に識別することは今回のセンサープローブと分析条件では困難であった。昨年と共通するセンサープローブと花について統計手法により再現性を検討したところ、センサープローブは再現性が高い反応を示したが、花は年度で異なる結果となった。これが花香そのものが変化したために生じた結果なのか、分析条件の変更に起因する結果なのかは不明であり今後の課題となった。また、本年度は10種類の花を扱った関係で実験が花の開花期に併せて長期となったことから、結果的に器械のキャリブレーションの必要性を求める結果となり、この点も次年度の課題となった。 今後は上記の課題を解決するための実験を行うと共に、さらに花香の識別に適したセンサープローブの選別を進めていく予定である。また、官能試験の結果を反映させるためにはニューラルネットワークの入力条件や最適学習レベルの詳細な検討が必要である。
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