これまでの実験結果をもとに、金属酸化物半導体センサーを12種類を用いて、5種.15品種の花香識別を行った。本年度は更に実験システムの改良を行い、反応経路上へのトラップの設置やキヤリプレーションデータによる測定値の補正を行った。 その結果、折半相関係数などを用いて統計計算したところ、センサーの反応値は極めて高い信頼性と再現性が得られるようになった。一方、年度間で共通した花の花香に対する反応値の相関係数は低いことから花香の年度間差は大きく、また本年度内の同品種においても折半相関係数で低い値が見られたことから、品種により程度の差はあるものの、本センサーシステムは花香の個体間差を感知することが明らかとなった。 ステップワイズ判別分析などの統計処理を行った結果、センサーによる花香の識別能は、種の異なる花香に関してはほぼ識別可能であったが、同種内異品種では識別困難な組み合わせもあり、今後人間の官能評価の結果と比較することにより、官能評価の代替システムとしてセンサーを適用する際の条件検討が必要と思われる。 バックプロパゲーション法によるニューラルネットワークを用いた解析では学習条件を変えても判別分析ほどの識別結果は得られなかった。したがって、他のニューラルネットワーク理論の採用や更なる開発が必要と考えられた。 なお本研究の一部は園芸学会平成11年度春季大会ならびに味と匂い学会平成11年度大会において発表する予定である。
|