ツマグロヨコバイ抵抗性水稲上でツマグロヨコバイを強制的に飼育すると、ほぼ100%の致死作用を示すものの、この抵抗性水稲が示す抵抗性の機構は未だ明らかとなっていないことから、この機構解明に取り組んだ。 ツマグロヨコバイに対して抵抗性を示す品種(インディカタイプ:Lepedomai、ジャポニカタイプ:Norin PL-6)および感受性を示す品種(ジャポニカタイプ:Toyonishiki)をツマグロヨコバイに摂食させ、その際に形成される口針鞘に着目して、口針は挿入された口針周辺の水稲組織とその挿入頻度ならびに挿入状態について植物切片を作製し比較を行った。 口針鞘が到達していた部位・・・いずれの品種の場合も維管束に90%以上の口針鞘が到達しており、維管束に到達していたものの50〜80%が大小の維管束に到達していた。大維管束に到達していた口針鞘のほとんどは篩管部に到達しており、ここでも品種間による違いは認められなかった。 挿入頻度・・・形成された口針鞘の数を数えることにより、口針挿入頻度について比較を行っても抵抗性および感受性品種に係わらず、単位時間当たり同等の挿入回数が観測された。 以上の結果から、ツマグロヨコバイ抵抗性水稲が示す抵抗性の機構には物理的要因が関与していないものと考えられた。
|