ツマグロヨコバイ抵抗性水稲上でツマグロヨコバイを強制的に飼育すると、ほぼ100%の致死作用を示すものの、この抵抗性水稲が示す抵抗性の機構には物理的要因が関与していないことを昨年明らかとした。本年はその機構が未だ未解決であることから、化学的手法を用いてこの機構解明に取り組んだ。 ツマグロヨコバイに対して抵抗性を示す品種(インディカタイプ:Lepedomai、ジャポニカタイプ;Norin PL6)及びその感受性品種(ジャポニカタイプ;Toyonishiki)を栽培後、それぞれの植物体を有機溶媒を用いて抽出し、得られたサンプルを人工飼育装置を用いてツマグロヨコバイに摂食させ、その摂食行動を観察した。 抵抗性品種の抽出物を与えられた場合、感受性品種の抽出物を与えられた場合に比べツマグロヨコバイの吸汁量が減少する傾向が見られ、この抵抗性が植物に含まれる化学成分、すなわちある種の摂食阻害物質の存在に基づく可能性が示唆された。しかしながら、感受性品種の抽出物を与えた場合でも、死亡する個体が多く観察されたことから、人工飼育装置の更なる改良・開発の必要性が考えられた。今後、新しい人工飼育装置の開発に取り組む予定である。
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