ラット副睾丸周辺の脂肪組織から単離した筋繊維芽細胞(rat myofibroblast : rMf)を用いて以下の解析を行った。 1.細胞外マトリックスの構成蛋白質ラミニンの分子種 rMfは血管内皮細胞と同様な2種類のラミニンホモログを合成・分泌していることを確認し、報告した。 2.既知の血管新生促進因子VEGF (Vascular Endothelium Growth Factor)の存在の確認 (1) VEGF様蛋白質の検出 rMfとヒトグリオブラストーマ細胞T98Gの培地及び細胞溶解液を非還元状態のSDS-PAGEに供し、4種類の抗VEGF抗体(免疫生物研究所製)を用いてVEGF様蛋白質の検出を試みた。抗体V-NとV-3はそれぞれVEGF165のN-端側とC-端側のペプチドを認識し、抗体16F2と2E1はリコンビナントVEGFを認識する。VEGFのダイマーは非還元状態では分子量46万前後に検出される。rMfとT98Gの場合、分子量が87KDaまたは200KDa前後の蛋白質バンドが検出されたことから、凝集体を形成している可能性が考えられた。次に、蛋白質を35Sで標識し、抗体を用いて免疫沈降した後、還元状態のSDS-PAGEに供した。rMfからはVEGF189、VEGF165、VEGF121と推定される蛋白質バンドが検出された。さらに、凝集しにくい条件でサンプルを調製し、還元状態でSDS-PAGEを行ったにも関わらず、およそ200KDaと高分子量の蛋白質が検出された。今後、この高分子量のVEGF様蛋白質の詳細な解析が必要である。 (2) VEGF mRNAのPCRによる解析 T98GとrMfから単離したポリ(A)+-RNAを用いてRT-PCRを行ったところ、500bp前後にPCR産物が検出された。今後の解析が必要である。
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