研究概要 |
実際に臨床で用いられている市販の鮫軟骨製剤を塩酸グアニジン、EDTA、ペプシン限定分解を順次行うことにより可溶化した。アミノ酸分析および電気泳動の結果より、いずれの画分も蛋白質成分の主成分はコラーゲンであることが確認された。いずれの画分に含まれるコラーゲン由来成分もかなり低分子化が進行し、製剤化の過程でかなりの分解を受けていることが分かった。この可溶化物の豚トリプシン、人の組織コラ-ゲナーゼであるMMP-1,MMP-9に対する阻害活性を調べた。トリプシン活性の測定には合成基質を用いたが、MMP-1,9には未変性のI,V型コラーゲンを基質とした。塩酸グアニジン可溶性画分において前述の3種類のプロテアーゼに対する阻害活性がdose-dependentに認められた。鮫軟骨の血管新生阻害活性はプロテアーゼ阻害によると考えられている。今回の研究で実際に投与されている形態でも鮫軟骨製剤がプロテアーゼ阻害を持つことが確認できた。また、プロテアーゼ阻害活性を可溶化できたため次年度はこの成分の分離を行う予定である。
|