研究課題/領域番号 |
08876052
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 雅保 京都大学, 農学部, 助教授 (10243073)
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研究分担者 |
南 直治郎 京都大学, 農学部, 助手 (30212236)
内海 恭三 京都大学, 農学部, 教授 (90033266)
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キーワード | 核移行シグナルペプチド / 遺伝子導入 / 細胞質インジェクション / ポリLリジン |
研究概要 |
哺乳動物卵子への遺伝子導入の効率化を計るために核内インジェクション法に変わる方法のひとつとしてとして、主に塩基性アミノ酸から構成され、高分子物質を細胞質から核内へと移行させるのに必須と考えられている核内移行シグナルを利用した細胞質インジェクション方法が考えられる。最近、ウニ卵子においてSV40ウイルスの初期遺伝子産物であるT抗原蛋白の核移行シグナルKKKRKペプチドに遺伝子を連結したものをウニ卵子の細胞質内に注入することによって、注入遺伝子は効率的に核内へ誘導されることが報告された。また、マウス前核期胚の細胞質にポリLリジン(K(n))とDNAの混合液を顕微注入することによってトランスジェニックマウスを非常に効率的に作出できることが報告された。おそらくポリLリジンが核移行シグナルとして機能していることが推察されており、DNAとポリLリジンとが電気的に結合してDNAが核内へ効率よく運搬されるものと思われる。細胞質インジェクション法は核内へのインジェクション法に比べ細胞に与える障害の程度が低いこと、およびび顕微操作が簡便であることから本研究では、ポリLリジンとDNAの混合液の細胞質インジェクションによるマウス卵子への効率的遺伝子導入条件について検討した。注入遺伝子にはlacZ遺伝子を含むpmiwZを直鎖状にしたものを用いた。その結果、ポリLリジンとDNAの混合比を1:1,1:2そして2:1として混合したものをマウス前核期胚の細胞質に注入しても、いずれの混合比でも、遺伝子導入効率は雄性前核内へのインジェクションに比べて非常に低値であった。以前に報告された結果を再現できなかった理由については全く不明であるが、今後、ポリLリジン以外の種々の核移行シグナルの効果について検討していくことが必要と思われる。
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