研究概要 |
フランスカモ膵臓内の成長ホルモン様物質の濃度と成長ホルモン分泌細胞の微細構造について調べた。また、成長ホルモン分泌細胞の動態を調べるために、成長ホルモン放出因子(GRF)と甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)を若齢のフランスカモに投与し、免疫組織化学的に調べた。 フランスカモの膵臓内の成長ホルモン様物質は分子量、約22,000と約45,000と推定される。また、フランスカモ膵臓内の酸抽出中の成長ホルモン様物質濃度測定法の結果では抗ウシ成長ホルモンにはほとんど反応はなかったが、抗ラット成長ホルモンに強く反応し、高値を示した。各膵葉の比較では脾葉と第3葉で高値を示した。 成長のホルモン様分泌細胞はグルカゴン(A)細胞と一致することが光学顕微鏡の段階でほぼ確かめられた。また、電子顕微鏡学的に免疫二重染色法を用いた結果でも成長ホルモン様物質はA細胞の分泌顆粒に局在していた。そして、抗グルカゴンの陽性の分泌顆粒のほとんどに抗成長ホルモンの陽性の反応が観察された。しかし、一部に抗グルカゴンにのみに陽性の顆粒と抗成長ホルモンにのみに陽性の顆粒が観察された。 2週齢のフランスカモにGRFおよびTRHを静注し、15分後に膵臓を摘出し、免疫組織学的、電子顕微鏡学的に調べた。光学顕微鏡学的にはGRFおよびTRHの投与によって、抗ヒト成長ホルモンの免疫組織反応は明らかに減少した。また、電子顕微鏡による観察でも、GRFおよびTRHの投与によってA細胞の分泌顆粒の急激な減少が観察された。
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