本研究計画は、新しいパラクリン/オートクリン因子と推定される、アネキシン5の遺伝子発現調節機序を解析し、アネキシン5が下垂体、卵巣における局所的な調節因子である可能性を追求したものである。今年度の実施結果は以下のように要約される。 1. RT-PCR法を用いた、アネキシン5mRNAの定量 アネキシン5のmRNA発現量を解析するために、RT-PCR法を利用した定量法を開発した。既に、内部標準とするG3PDHmRNAを同時に同一チューブ内で増幅するためのプライマーの設計、PCR条件の検討を終えた。この系を用いて下垂体、卵巣のアネキシン5mRNA量の変化を追跡中である。 2. In situ hybridization法を用いた、アネキシン5産生細胞の同定 アネキシン5が、下垂体、卵巣を初めとした数々の組織に存在することを見いだしている。しかし、これらの組織は複数の細胞種の混在する組織であり、アネキシン5は、産生細胞によって細胞外に供給されている。そこで、どの細胞種がアネキシン5を産生し、これを局所に供給しているかを知るため、in situ hybridization法を用いて、アネキシン5mRNAの組織内分布を明らかにし、免疫組織化学法から得られた知見と比較検討した。卵巣でまず実験を行い、黄体細胞の中でも大型の細胞にmRNAの出現することを明らかにした。 3.アネキシン5の細胞作用の検討 ホルモン分泌を指標としてアネキシン5の効果を検討中である。下垂体ホルモン(LHとプロラクチン)の時間分解免疫測定法を開発し、初代培養系で組換えアネキシン5、アンチセンスDNAの効果を検討中である。
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